訪問看護師の必需品10選|現役ナースが絶対に手放せない道具
訪問看護師の仕事道具は、病院の看護師とは少し異なります。病院であれば必要な物品はすべてナースステーションや処置室にそろっています。
でも訪問看護師は違います。利用者さんのご自宅に伺うとき、必要な道具はすべて自分で持参しなければなりません。
「あの道具があれば…」と後悔した経験は、訪問看護師なら誰でも一度はあるはずです。
私自身も試行錯誤を重ねながら、「これだけは絶対に手放せない」という道具が定まってきました。
今回は、私が実際に使って「絶対に手放せない」と感じる道具を10個ご紹介します。これから訪問看護師を目指す方や、道具選びに迷っている方のお役に立てれば嬉しいです。
1. ペンライト|小さいけれど頼れる存在
訪問先のご自宅は、病院のように明るい照明が整っているとは限りません。薄暗い部屋での観察や、口腔内・瞳孔確認の場面で、ペンライトは必須です。
ポイントはコンパクトで明るいものを選ぶこと。ポケットにすっと入るサイズで、ボタンひとつで点灯できるものが使いやすいです。電池切れで使えなかったという経験から、予備の電池も必ずバッグに入れるようにしています。
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2. 聴診器|自分の耳に合ったものを

聴診器は訪問看護師にとって最も重要な道具のひとつです。病院では共用のものを使うこともありますが、訪問看護では完全に自分専用です。
意外と見落とされがちなのがイヤーチップのサイズです。サイズが合っていないと、雑音が入りやすくなったり、長時間使用で耳が痛くなったりします。
学生時代、安い聴診器の固いイヤーチップが耳に合わなくて傷ができたことがあります。正確な聴診のためにも、まずここから見直してみてください。
イヤーチップはパーツ単体でも購入できます。メーカーに楽天市場でイヤーチップのみを購入して交換することが可能です。
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高価なものが必ずしも良いわけではありませんが、安すぎるものは雑音が入りやすくパーツの交換ができないものが多いです。
中程度の価格帯のものを長く使うのがおすすめです。
3. 血圧計(デジタル式)|上腕式一択

訪問看護師のバッグに必ず入っているのが血圧計です。手首式は手軽ですが、正確性の面で上腕式に劣ることがあります。利用者さんの状態を正確に把握するために、上腕式のデジタル血圧計をおすすめします。
軽量でコンパクトなものが各メーカーから出ているので、持ち運びやすさも考慮して選びましょう。カフのサイズが合わないと正確に測れないため、標準サイズと大きめサイズの両方を持っておくと安心です。
4. パルスオキシメーター|在宅ケアの必需品

在宅では酸素飽和度の確認が非常に重要です。COPDや心不全など、呼吸状態の管理が必要な場合には、パルスオキシメーターは欠かせません。
機種を選ぶ際に、ぜひ知っておいてほしいのが波形表示の有無です。数字だけが表示される波形なしの機種は、小型で軽く価格も抑えられます。日常の健康管理であれば十分な場面も多いです。ただし、指先の血流が悪いときや体動がある場合、数値が表示されていても本当に正確に測れているかどうかを判断しにくいというデメリットがあります。
一方、波形ありの機種は、脈波がきれいに出ているかを目で確認できるため、測定がうまくできているかどうかを判断しやすいのが最大のメリットです。末梢循環が悪い利用者さんや、冷えや浮腫のある方の測定では特に心強い存在になります。
訪問看護の現場では、高齢で末梢循環が悪い方や、じっとしていることが難しい方の測定も少なくありません。数値を「見る」だけでなく、その数値を信頼できるかどうかを判断するために、波形ありの機種をおすすめします。なお、波形に加えてPI(灌流指標)表示がある機種だと、センサーがどれだけしっかり脈を拾えているかの目安にもなり、さらに安心です。
5. 体温計|正確さと使いやすさを両立させる
訪問中の限られた時間の中では、操作がシンプルで利用者さんに負担をかけずに測れるものを選ぶことが大切です。高齢の利用者さんの中には、腋窩をしっかり閉じることが難しい方も多く、短時間で測れるものが助かる場面は確かにあります。
ただしスピードだけを優先するのは禁物です。発熱が疑われる場合や、状態の変化を正確に把握したい場面では、予測式より実測式で丁寧に確認することが大切です。体温計はシンプルな道具だからこそ、使い方と使い分けの判断が問われます。
体温計には大きく分けて接触式と非接触式があります。それぞれに特徴があり、訪問看護の現場では使い分けが重要です。
接触式と非接触式
接触式(腋窩・口腔・直腸)は、皮膚や粘膜に直接当てて測定するため、精度が高く信頼性があります。訪問看護では腋窩での測定が一般的です。正確な体温把握が必要な場面や、状態変化を継続的に追いたい利用者さんには接触式が向いています。
非接触式(額・耳)は、皮膚に触れずに短時間で測定できるため、感染リスクを減らしたい場面や、触れられることを嫌がる利用者さんへの対応に向いています。ただし、室温の影響を受けやすく、測定部位や当て方によって数値がばらつくことがあります。「参考値として確認する」という意識で使うのが適切です。
もうひとつ、体温計を選ぶ際に見落としがちな重要なポイントが医療機器認証の有無です。
日本では、医療目的で使用する体温計は薬機法(医薬品医療機器等法)に基づく医療機器認証または承認を受けたものが正式な「医療機器」として位置づけられています。パッケージや本体に「管理医療機器」「届出番号」などの表記があるものがこれにあたります。
一方、雑貨として販売されている非接触型の体温計の中には、医療機器認証を取得していないものも多く存在します。価格が安く手軽に購入できますが、測定精度の基準を満たしているかどうかが不明なため、医療・看護の現場での使用には適しません。
訪問看護師が使用する体温計は、必ず医療機器認証を取得したものを選ぶことが大原則です。購入前にパッケージの表記を確認する習慣をつけておくと安心です。
私は接触式をメインに使いながら、状況に応じて非接触式を補助的に活用するスタイルをとっています。どちらか一方ではなく、利用者さんの状態と場面に合わせて使い分けることが、必要だと感じています。
コロナ以降、ご自宅に体温計をお持ちのかたが増えました。
お持ちでない場合には、訪問を開始したときに「ご自宅用に体温計・血圧計を購入すること」をお勧めするようにしています。アルコール消毒はしていますが、未知の感染症がまた発生しないとは言えないからです。
6. ディスポ手袋|感染対策の基本
感染対策の観点から、使い捨て手袋は必ず複数枚持参します。ラテックス(天然ゴム)はアレルギーを起こす方がいるため、ニトリル製などを選ぶのが安心です。
サイズは自分の手に合ったものを。大きすぎると処置中に操作がしにくく、小さすぎると破れるリスクがあります。バッグの中で取り出しやすい場所に入れておくことも、スムーズな処置につながります。
7. 手帳|デジタルと紙の使い分け

訪問の記録はモバイル端末に直接入力する時代になりました。でも私は今も、小型の手帳を必ずバッグに入れています。理由はシンプルです。デジタルには書ききれない「気になること」を書き留めるためです。
利用者さんとの会話の中でふと気になった言葉、次回確認しようと思ったこと、家族への伝言メモ。こういった細かいことは、モバイルの記録画面に入力するには少し手間がかかります。でも手帳にさっと書いておけば、あとで落ち着いた場所で整理できます。
選ぶポイントはバッグの中でかさばらないサイズであること、コンパクトで開きやすいものであること。バインダー式にするなら、アルコール消毒できる素材だとなお良いです。デジタルと紙、両方を使い分けています。
8. ディスポエプロン|処置の場面で
褥瘡処置や排泄ケアなど、衣服が汚染されるリスクのある場面では使い捨てエプロンが必須です。
日常的に使用するかたを担当していないときは、ジプロックのようなプラスチックバッグに入れて常備しています。空気を抜くとかさばりません。
「必要ないだろう」と思って持っていかない日に限って必要になるのが、訪問看護あるあるです。
9. メジャー
傷や褥瘡、発赤などの大きさを測るために必要です。
巻き尺タイプのものと、定規(透明)両方あると便利です。
メジャー(巻き尺)は身体全体や広い範囲の計測に適しています。たとえば、浮腫の評価で下腿周径を測定したり、褥瘡の大きさを大まかに把握したりする際には、柔軟でカーブにも沿わせやすい巻き尺が便利です。利用者の体にフィットさせながら測れるため、より実態に近い数値が得られます。
透明物差しは「細かく・正確に・記録に残す」場面で力を発揮します。特に創傷ケアでは、創の縦横の長さや深さ、変化の経過をミリ単位で評価することが重要です。透明であることで、皮膚に直接当てても視認性を妨げず、写真記録時にもそのまま写し込むことで客観的な比較が可能になります。これは医師や他職種との情報共有においても非常に有用です。
10. 折りたたみ傘|道具を守り、自分を守る

訪問看護師の仕事は、天候に関係なく続きます。雨の日も、風の強い日も、利用者さんのもとへ伺うことに変わりはありません。だからこそ、軽量でコンパクトな晴雨兼用折りたたみ傘は、私のバッグに必ず入っている道具のひとつです。
単に自分が濡れないためだけではありません。訪問中に持参している医療道具や記録用品を雨から守るという意味でも、傘の役割は思っている以上に大きいです。
車を駐車場において、訪問先まで歩くことも多いです。日差しの厳しい季節には日傘があると日焼けを防ぐことができます。荷物で両手がふさがっている時は帽子をかぶっています。
折りたたみ傘を選ぶ際には、軽さを優先するか、開閉のしやすさを優先するかで選択肢が変わってきます。
超軽量タイプ(200グラム前後)は、手動で開閉するシンプルな構造のものが多く、負担が最小限です。訪問件数が多い日や、移動距離が長い日には、この軽さが体への負担を軽くしてくれます。
一方、ワンタッチ開閉タイプは便利な反面、機能の分だけ重くなりがちです。両手に荷物を持った状態で傘を広げる場面には向いていますが、毎日持ち歩くには重さが気になります。
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私の使い分けは、雨の予報がない日は超軽量タイプをバッグに常備し、雨が確実な日はワンタッチタイプに入れ替えるようにしています。2本持ちは少し贅沢に思えますが、毎日使う道具だからこそ、状況に合わせて選べる安心感は大きいです。
おわりに

訪問看護師の道具選びは、自分の仕事スタイルや担当する利用者さんの状態によって変わってきます。今回ご紹介した10選は、私が長年の訪問看護の経験の中で「絶対に手放せない」と実感したものばかりです。
大切なのは、道具をそろえることよりもその道具を使いこなす判断です。良い道具は確実に仕事の質と自分自身の安心感を上げてくれます。これから訪問看護師を目指す方も、すでに働いている方も、自分に合った道具を少しずつそろえていただければ嬉しいです。
