訪問看護
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病院が合わなかったHSPの私が訪問看護に転職した話

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イタドリ
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看護師になりたくて、なったはずでした。でも病院で働き始めてから、私はずっとどこか息苦しさを感じていました。仕事が嫌いなわけではない。患者さんのそばにいることは好き。でも毎朝、職場に向かう足が重くなっていく。

その感覚の正体がわかったのは、訪問看護に転職してからずいぶん経ったあとのことでした。私はHSP(Highly Sensitive Person)だったのです。今回は、病院を離れるまでの葛藤と、訪問看護に転職して気づいたことをお伝えしたいと思います。

病院での日々|何がそんなに苦しかったのか

病院で働いていた頃、私が特につらかったのは刺激の多さでした。

ナースステーションは常に人の声と機械音と緊張感に満ちています。モニターのアラーム音、ナースコール、医師への報告、スタッフ間の申し送り。それらが同時進行で押し寄せてくる環境の中で、私はいつも頭の中がいっぱいになっていました。

仕事が終わっても、頭の中では一日の出来事がぐるぐると繰り返されます。「あの患者さんの顔色が少し悪かった」「さっきの報告の言い方はよかっただろうか」「明日の処置の準備は万全だろうか」
家に帰ってもスイッチが切れず、休んでいる気がしない日が続きました。

さらにつらかったのが人間関係の複雑さです。大勢のスタッフが同じ空間で働く病院では、人間関係のひずみが生まれやすく、HSPの私はその場の空気や感情の変化に敏感に反応してしまいます。誰かがピリピリしているだけで、自分まで消耗してしまう。
それが毎日続くのは、想像以上に体力と気力を奪っていきました。

当時の私は、自分がHSPだということを知りませんでした。ただ「自分はこの仕事に向いていないのかもしれない」「もっとタフな人間にならなければ」と、自分を責め続けていました。

転職を考え始めたきっかけ|忘れられない再会

転職を意識したのは、忘れられない患者さんとの再会がきっかけでした。

以前担当していた患者さんが、ある日再入院してきました。ベッドに横たわるその方を見て、私は言葉を失いました。全身が褥瘡だらけになっていたのです。

退院時にはそこまでひどい状態ではありませんでした。でも自宅に戻ってからの間に、皮膚の状態はどんどん悪化していた。なぜそうなってしまったのか。後になってわかったのは、同居していたご家族の健康状態が悪くなり、介護できる状況ではなくなったということでした。

病院の中にいる間は、処置もケアも整った環境の中で提供できます。でも患者さんが自宅に帰った瞬間、私たちの目は届かなくなります。その間に何が起きているか、誰も気づけない。その現実が、ずっと胸に引っかかり続けました。

「退院したあとの生活を、誰かが支えなければならない。」

その思いが、訪問看護への転職を真剣に考えるきっかけになりました。入院中だけでなく、自宅でもできるだけ安定して、安全に生活できるようにサポートしたい。病院の外でこそ、看護師にできることがあると感じたのです。

もちろん不安はありました。訪問看護は一人で利用者さんのご自宅に伺う仕事。何かあってもすぐに周りに頼れる病院とは違います。判断も責任も、自分にのしかかってくる怖さは正直ありました。

それでも退院後の暮らしを支えたい。その思いが、私の背中をゆっくりと押していきました。

訪問看護に転職して最初に感じたこと

最初の訪問日、私はひとりで自転車をこいでいました。地図を頼りに、初めて訪問する利用者さんのお宅を目指しながら「ああ、静かだ」と思いました。

病院にいたときは常に誰かの声や機械音が飛び交っていて、自分の考えが頭の中でまとまらないことがよくありました。でも、訪問の移動時間は自分だけの時間です。

利用者さんのお宅に着くと、今度は「その人の生活の場」に入る独特の緊張感がありました。病院と違い、主導権は利用者さん側にある。そのことを肌で感じました。

最初の数週間は慣れないことも多く、戸惑う場面もありました。でもそれ以上に「この仕事、自分に合っているかもしれない」という感覚が確かにありました。

HSPだからこそ、訪問看護で気づけること

穏やかに会話

HSPの特性として「細かいことに気づきやすい」という点があります。部屋の空気感、利用者さんの声のトーン、表情のわずかな変化。病院にいたときはそういった感覚が「余計なことが気になる」と感じていました。

でも訪問看護では違いました。「なんとなくいつもと顔色が違う」「ゴミ箱の様子が変だ」「冷蔵庫の食材が減っていない」
そうした細かな気づきが、状態変化の早期発見につながることがあります。

先輩ナースに「よく気づくね」と言われたとき、初めて自分の感じやすさが「強み」として認められた気がしました。

HSPであることは、決して弱点だけではありません。ただ、その特性が活かされる環境かどうかが大切なのだと、訪問看護に来て初めて実感しました。

訪問看護への転職で変わったこと

転職してから、仕事が終わった後の疲れ方が変わりました。以前は「消耗した」という感覚が強かったのですが、今は「使い切った」という感じに近いです。

休日に仕事のことを引きずることも減りました。病院にいたときは、オフの日でも「あの対応でよかったか」「明日のシフトが憂鬱」という思いがついて回っていました。

利用者さんとの関係が継続することも大きな変化です。毎週顔を合わせることで、信頼関係が少しずつ育っていく。それが仕事のやりがいにつながっています。

もちろん大変なこともあります。急変対応や家族との調整、ひとりで判断しなければならない場面の緊張感。それでも「自分がここにいていい」という感覚が、以前とは違います。

病院が合わなかった自分に気がついて、違う道を模索できてよかったと思っています。合う環境を探すことは、逃げではなく、自分を守る選択だったと思っています。

おわりに|病院が合わなかった自分を責めなくていい

病院が合わなかった、というのは決して恥ずかしいことではありません。看護師として能力がないわけでも、メンタルが弱いわけでもない。ただ、「環境との相性」があるだけです。

HSPの特性を持つ人は、刺激の多い環境で消耗しやすい一方、じっくり関われる環境では力を発揮できます。訪問看護はその一例にすぎませんが、私にとっては「ここだ」と思える場所でした。

もし今、病院で消耗しているHSPの看護師さんがいたら、この記事が少しでもヒントになれば嬉しいです。転職は怖いけれど、一歩踏み出した先に、合う場所があるかもしれません。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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