訪問看護の自転車|電動アシストの装備と、停める前に確認していること
訪問看護の移動手段は、自動車か自転車です。車を使う事業所のほうが多いと思いますが、私の勤務先は自転車です。電動アシスト自転車で、毎日利用者さんのお宅を回っています。
働きはじめる前の私は、自転車を「乗れば着くもの」くらいに思っていました。実際に走ってみると、そう単純ではありませんでした。どこに停めるか、ヘルメットをどこに置くか、雨の日に荷物をどう守るか。小さな判断が、毎日いくつもあります。
この記事では、私が実際に使っている装備と、停める前に必ず確認していることを書きます。転びかけた話や、試してみてあきらめたものも入れました。これから訪問看護に移る方の、心の準備になればうれしいです。
- 事業所の自転車を選ぶときに、私が伝えたこと
- ヘルメット・手袋・カゴまわりで使っている装備
- 自転車を停める場所の決め方と、確認していること
- 1. 事業所の自転車でも、選ぶときに希望を伝えていいんです
- 2. 買い替えて、いちばん違いを感じたのはセンタースタンドでした
- 3. 前カゴと後ろカゴは、役割を分けておくと迷いません
- 4. ヘルメットは、つばがあって内側を洗えるものを使っています
- 5. 手袋は、転んだときに傷を作らないために使っています
- 6. 冬のハンドルカバーは、手の冷え方がまったく違います
- 7. 走る前に、道と停める場所を調べておきます
- 8. 転びかけたのは、どちらも足をついたときでした
- 9. 停める場所は、初めて伺うときに確認して決めます
- 10. 自転車を離れるときは、必ずバッグを持って降ります
- 11. 点検は2か月に1回、パンクは1回だけありました
- 12. 自転車保険は、いま入っている保険を確認するところから
- 13. 道の走り方で、自分に決めていること
- 14. 試してみて、あきらめたもの
- まとめ|自転車で気をつかうのは、走っている時間だけではありませんでした
1. 事業所の自転車でも、選ぶときに希望を伝えていいんです
私の勤務先では、自転車は事業所の備品です。以前あてがわれていたのは、ホームセンターで売っているような安いアシスト自転車でした。
これがなかなか手強い自転車でした。漕ぎ出しでぐんと前に出てしまい、ブレーキも重いのです。自転車屋さんで見てもらいましたが、これ以上は調整できないと言われました。
サドルもそうでした。いちばん低くしても私には少し高くて、足がつきにくいのが怖かったのです。昭和生まれの私は、今の若い方より背が低いほうですから。
結局その自転車は不具合が続いて、最後は故障してしまいました。部品がないので修理もできないと言われました。
買い直すことになったとき、私は自転車屋さんに行って、実際にまたがってみました。そのうえで「これかこれなら大丈夫です」と事業所に伝えて、購入してもらいました。
もうひとつ、右側用のミラーも自転車と一緒に買ってもらいました。後方の安全確認のためです。もちろん目視でも後ろを確認しますが、ミラーがあると振り向かずに確認できて助かっています。
毎日何時間も乗るものですし、身体に合わない自転車は危ないです。備品だからと遠慮せずに希望を伝えてよかった、と今は思っています。
2. 買い替えて、いちばん違いを感じたのはセンタースタンドでした
今の自転車はきちんとしたメーカーのもので、漕ぎ出しがなめらかです。取り回しも楽になりました。
思いがけず違いを感じたのが、停めるときのセンタースタンドです。以前の自転車は、車体を少し引き上げながら踏み込む必要がありました。今のものは、軽く踏むだけで立ちます。
1日に何度も繰り返す動作です。この差は、夕方になるほど身にしみます。数年は乗るものですから、安さだけで選ぶのはおすすめしません。
3. 前カゴと後ろカゴは、役割を分けておくと迷いません
前カゴには訪問バッグを入れています。私の自転車の前カゴは、幅40センチ・奥行き31センチ・深さ22センチです。訪問バッグがすんなり収まる大きさでした。
後ろカゴには、ヘルメットと、不意の雨のためのレインコートを入れています。後ろカゴにはカバーを付けました。ヘルメットが濡れてしまうと、次にかぶるときに困るからです。
前カゴのほうはカバーが使えません。カゴよりもバッグのほうが背が高いのです。雨が降ってきたときは、大きめの透明なゴミ袋をかぶせています。見た目はよくありませんが、これが確実でした。
4. ヘルメットは、つばがあって内側を洗えるものを使っています
私の勤務先では、ヘルメットの着用が決まりになっています。使っているのは、つばのあるキャップタイプです。
夏はやはり蒸れます。ただ、内側のクッションがマジックテープで簡単に外せるつくりなので、ときどき手洗いしています。清潔に保てるかどうかは、選ぶときに見ておくといいところかもしれません。
つばがもう少し広いといいのですが、そういう商品が見つかりません。サンバイザーを外付けしてみたこともありますが、走ると風にあおられて外れてしまうのであきらめました。
訪問しているあいだは、後ろカゴに入れています。
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5. 手袋は、転んだときに傷を作らないために使っています
手袋をしている理由は、寒さよりも傷を防ぐためです。手に傷ができると、1日に何度も行うアルコール消毒がしみます。大きなけがでなくても、これがなかなかつらいのです。
それでも傷ができてしまったときは、液体絆創膏を使っています。私が使っているのはサカムケアです。絆創膏だと、手を洗うたびに湿ってしまって、清潔に保ちにくいからです。
傷が深いときや、汚れが入り込んでいるときは、自分で処置せずに受診してください。これはあくまで、ごく浅い傷のときの私のやり方です。
季節では使い分けています。夏は薄手のものを使います。春と秋は防風素材のものにしています。冬は次に書くハンドルカバーと合わせるので、厚すぎない暖かいものを選んでいます。厚い手袋だと、カバーの中でもたついてしまうのです。
6. 冬のハンドルカバーは、手の冷え方がまったく違います
冬のハンドルカバーは、私にとっては必須の装備です。付ける前と後とでは、手の冷え方がまったく違いました。
特につらいのが、冬の雨の日です。ハンドルカバーがないと、手がかじかんでブレーキも握りにくくなります。見た目が気になる方もいるかもしれませんが、一度使うと戻れないと思います。
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7. 走る前に、道と停める場所を調べておきます
はじめて伺うお宅の前には、グーグルマップで道を確認します。自宅でストリートビューも見ておきます。建物の外観だけでなく、自転車を停められそうな場所の見当もつくからです。
事業所のスマートフォンには、訪問先の位置を保存しています。わからなくなったときは、それを見ています。走りながら画面を見ることのないよう、いったん止まってから確認するようにしています。
8. 転びかけたのは、どちらも足をついたときでした
砂利で足がすべった日
道路に足をつこうとしたとき、そこに砂利があってすべり、転びそうになりました。このできごとがきっかけで、靴を見直しました。

歩道の終わりで、大きく傾いた日
足をつこうとしたら、思っていたより路面の傾斜が大きくて、車体ごと大きく傾きました。通りすがりの方が支えてくださって、事なきを得ました。
あとから気をつけて見ると、歩道が終わるところや交差点の手前に、そういう傾いた場所が多いのです。走っているあいだは気づきにくくて、足をついた瞬間にわかります。
サドルの高さは、真ん中あたりで折り合いをつけています
この一件のあと、サドルを少し下げました。サドルが高いほうが膝は楽です。それでも、転んでしまっては元も子もありません。
低すぎず高すぎず、というところを探して調整しています。前の自転車はいちばん低くしても高かったので、こうして選べること自体がありがたいです。
9. 停める場所は、初めて伺うときに確認して決めます
自転車はどこにでも置けるもの、というイメージがあるかもしれません。実際には、気をつけることがわりとあります。私は初めて伺うときに、停める場所をご本人やご家族に確認しています。二回目からは、そこに停めさせていただきます。
庭や駐車場があるお宅
庭や駐車場のあるお宅では、中に停めさせていただいてよいか伺います。許可をいただいてから入れます。
庭がないお宅
庭がない場合は、家の前や犬走り(建物の外壁沿いの細い通路)に停められないかを伺います。あわせて、お隣や向かいのお宅の車の出入りの邪魔にならないかも確認します。
一度だけ、少し場所をずらしてほしいとお声がけいただいたことがあります。とても狭い行き止まりの道を入ったところのお宅でした。それからは、道のせまいお宅ではとくに気をつけています。
集合住宅
集合住宅は、駐輪場があっても住人以外は停めにくいことがあります。ここも必ずご家族に確認します。
駅の近く
駅の近くには、駐輪禁止のエリアがあります。うっかり置いてしまうと、自転車を撤去されてしまいます。自治体のホームページで場所を確認しておくと安心です。
選べるなら、屋根のあるところ
停める場所に選択肢があるときは、屋根のあるところを選びます。以前、直射日光でサドルカバーが溶けてしまったことがありました。
雨の日はもっと切実です。レインコートを脱ぎ着したり、荷物を出し入れしたりするあいだに濡れてしまいます。屋根があるだけで、次の訪問に持ち込む湿り気がだいぶ減ります。
10. 自転車を離れるときは、必ずバッグを持って降ります
訪問バッグには、利用者さんの記録が入っています。自転車を離れるときは、短い時間でも必ず持って降ります。カゴに置いたままにすることはありません。
前カゴには、ひったくり防止のゴムをかけています。アシスト自転車では、スクーターに追いつけませんから。
使っているのは、自分でつないだものです。100円ショップで売っている自転車用の荷物止めのゴムひもと、家にあった竿ばさみを、ナスカンでつなぎました。
使い方は簡単です。カゴにバッグを入れたら、上からゴムひもで押さえて、竿ばさみをハンドルに留めるだけです。降りるときもワンタッチで外せます。

写真の青い部品が竿ばさみです。ゴムひもの先に、ナスカンでつないであります。
ひとつだけ気をつけているのは、ブレーキにつながるワイヤーに引っかけないことです。点検に出したときに、自転車屋さんが教えてくれました。ワイヤーに力がかかった状態が続くのはよくない、というお話でした。私自身はききの違いを感じたことはありませんが、それからは留める位置を確かめています。
鍵は自転車に付いている標準のものだけですが、停めるときは必ずかけています。
11. 点検は2か月に1回、パンクは1回だけありました
自転車は2か月に1回、自転車屋さんで点検してもらっています。備品なので、点検も修理も事業所が費用を持ってくれます。毎日乗るものですから、悪くなってから直すより気が楽です。
パンクは、これまでに1回だけありました。スマートフォンでいちばん近い自転車屋さんを調べて、押して歩いて持ち込みました。そのあいだに、次の訪問先へ遅れることを電話で連絡しました。
困ったときに最初にすることは、修理ではなく連絡でした。待っている方がいるので、そこがいちばん急ぐところです。
幸い遠くなかったので、その日の訪問を終えてから受け取りに行きました。
バッテリーは事業所で充電しています。残量は毎回確認しているので、途中で切れて困ったことはありません。もし切れても、ただの重い自転車になるだけです。そのときはあきらめて漕ぎます。
12. 自転車保険は、いま入っている保険を確認するところから
私の勤務先では、自転車保険は各自で入る決まりです。私は、家族が入っている保険に付帯しているもので備えています。
自転車保険という名前の保険でなくてもかまいません。火災保険や自動車保険の特約、クレジットカードの付帯保険に個人賠償責任保険が付いていることがあります。まずは、いま入っている保険を確認してみてください。
国土交通省によると、令和6年4月1日の時点で、34都府県が条例で加入を義務化し、10道県が努力義務としています。お住まいの自治体がどちらなのか、一度見ておくと安心です。
出典:国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について」
13. 道の走り方で、自分に決めていること
一時停止は必ずします。長く乗っているので、もう習慣になりました。
私の地域は、自転車も走れる広い歩道が多くあります。そういう場所では歩道を走りますし、車道に自転車用のレーンがあればそちらを走ります。
2026年4月から、自転車の交通違反にも青切符(交通反則通告制度)が導入されました。16歳以上が対象で、反則金は3,000円から12,000円です。仕事で毎日乗る私たちは、いっそう気をつけたいところです。
出典:政府広報オンライン「2026年4月から自転車の交通違反に『青切符』を導入!」
14. 試してみて、あきらめたもの
うまくいったものばかり並べてもフェアではないので、あきらめたものも書いておきます。
- サドルカバー:お尻が痛くて買い足したのですが、直射日光で溶けてしまいました。標準のサドルは溶けません
- サンバイザーの外付け:走ると風にあおられて外れました
- 髪型:ヘルメットでつぶれます。これはもう受け入れました
お尻の痛みは、結局あきらめました。ずっと乗っていると、そういうものだと思えてくるから不思議です。
髪型については、ひとつだけ手を打ちました。前髪が額に落ちてくると気が散るので、ハードタイプの前髪マスカラを持ち歩いています。全部を整えるのは無理でも、前髪だけなら玄関の前で直せます。
まとめ|自転車で気をつかうのは、走っている時間だけではありませんでした
自転車で訪問していて、気をつかうのは走っているあいだだけではありませんでした。初めて伺うお宅では、どこに停めさせていただくかを確認するところから始まります。着いてからのその数分にも、走っているときと同じくらい気を配っています。
装備をそろえるのは、そのあとでかまいません。明日からできることをひとつだけ挙げるなら、訪問先で自転車を停める場所を、ご家族に一度確認してみることです。
毎日のことですから、少しずつ自分に合う形が見つかっていきます。あきらめたものが3つある私でも、なんとか続けられています。




