訪問看護の靴の選び方|滑らない靴底と、かがまず履ける工夫
玄関先で片手に荷物を持ったまま、片足立ちで靴を履こうとしてよろける。次の訪問の時間も気になって、気持ちだけが焦る。そんな場面はありませんか。
私は訪問看護師として20年以上、1日4〜6件のお宅をまわってきました。出入りのたびに靴を脱いで履いてを繰り返すので、靴選びは地味に効いてきます。
この記事では、私がいまの一足に落ち着くまでに何を試して、何で失敗したかをお話しします。
- 訪問看護の靴で本当に大事な2つの条件
- 私が滑って怖い思いをした場面と、いま履いている一足
- スリッポンやサイドジップを選ばなかった理由
訪問看護の靴は「滑らないこと」と「かがまずに履けること」で選んでいます
先に結論を書きます。私にとって訪問看護の靴に必要なのは、おしゃれさよりもこの2つです。
- 濡れた玄関でも滑らない靴底
- かがまず、手を使わずに脱ぎ履きできること
1日4〜6件まわると、出入りだけで8回から12回は靴を脱ぎ履きします。同じ動作を、毎日くり返すことになります。
1回3秒の差でも、10回なら30秒です。それ以上に、かがむ動作が腰にたまっていきます。
つるつるした玄関で、何度もヒヤッとしました
マンションのエントランスや玄関は、つるつるした石のような素材のことがあります。雨の日に濡れた靴でそこへ入ると、本当によく滑ります。
私は何度も怖い思いをしました。自転車から降りて足をついた場所に砂が浮いていて、滑りかけたこともあります。
道路にも滑りやすい場所があります。マンホールのふた、引き直したばかりの白線、路面に描かれた標識。雨の日はどれもよく滑ります。
以前は、シニア向けに「滑りにくい」とうたわれたスニーカーを履いていました。それでも滑りました。想定されている歩き方や運動量が、私たちの動き方とは違うのかもしれません。
訪問先や移動中に転んでしまえば、その日の訪問はそこで止まります。それがわかっているのに何を選べばよいかわからず、あのころの私は完全に靴迷子でした。

いまは、ハイパーVソールのスニーカーをリピートして3足目です

たどり着いたのが、日進ゴムの「ハイパーV」という靴底を使ったスニーカーです。テレビで紹介されているのを見て知りました。
メーカーの説明では、通常のラバーソールの2.5倍以上のグリップ力があるとされています。労働安全衛生総合研究所の技術指針で、耐滑性能の最高区分を上回るとも書かれています。
作業靴や安全靴をつくっている会社なので、そこも安心材料になりました。
履き替えてから、滑ってヒヤッとする場面がなくなりました。あくまで私の場合ですが、ここははっきり変わったところです。
見た目は黒い合皮のスニーカーです。先芯の入っていないタイプなので、作業靴と聞いて想像するいかつさはありません。

はなやかではありませんが、布のスニーカーより表面が丈夫で、くたびれて見えにくいのは助かります。おしゃれさより、滑って転ばないほうを取りました。
いま履いているのが3足目です。次もたぶん、同じものを買います。
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靴ひもを伸びるタイプに替えて、靴に触らずに履いています
靴そのものと同じくらい効いたのが、靴ひもを替えたことでした。
伸びるタイプの靴ひもにして、足がすっと入る長さに調節しています。結んだままで脱ぎ履きできるので、玄関で足元に手を伸ばす必要がありません。
玄関は狭いことが多く、こちらは荷物も持っています。かがむと腰にきますし、靴はどうしても不衛生です。手で触らずに済むのは、思っていたより大きな差でした。

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スリッポンやサイドジップを選ばなかった理由
脱ぎ履きが楽な靴といえば、スリッポンやサイドジップが思い浮かびますよね。私はどちらも使っていません。
スリッポンは、足が疲れました
足にフィットしにくくて、1日歩くと疲れました。歩く距離が短い仕事なら、また違うのかもしれません。
サイドジップは、結局かがむことになります
ファスナーを上げ下げするために、毎回足元へ手を伸ばします。靴ひもを結び直す手間はなくなっても、腰と衛生の問題は残ります。
面ファスナーは、見た目が好みではありませんでした
これは完全に好みの話です。仕事で毎日履くものなので、自分が気に入るかどうかも大事にしています。
私は左右で足のサイズが違います
そのため、中敷きと靴ひもで細かく調節できることが欠かせません。ここが合わないと、どれだけ評判のよい靴でも私には合いませんでした。
合う靴は人によって違います。誰かのおすすめがそのまま自分の正解になるとは限らないと、遠回りして知りました。
中敷きは明るい色にしています|玄関は暗いことが多いから
訪問先の玄関は、思っているより暗いことが多いです。
そこで中敷きは、グレーやベージュなど明るめの色を選んでいます。靴の中が見えるかどうかで、足を入れるまでの速さが変わります。
夏は中敷きをこまめに洗います。汗のにおいは自分では気づきにくいので、ここは気をつけています。
私がいま使っている中敷きは、調べたら廃盤になっていました。買い替えるなら、色が明るくて、厚みで調整できるものを選びます。
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訪問先で靴を脱いだあとのこと|基本は靴下、迷ったらスリッパ
靴を脱いだあと、どうしているかもよく聞かれます。私は基本的に、靴下のまま上がります。
掃除がかなり行き届いていないお宅でも、そこは変えていません。ただ、替えの靴下はいつもバッグに入れています。
一度、畳が湿っぽくて履き替えたことがありました。そのまま次のお宅へうかがうわけにはいきませんから。
反対に、靴下では上がらないと決めている場面もあります。
- 虫がわいている
- 物が積み上がっていて、足をけがしそう
- 何を踏むか予測できない
こういうときは、ステーションが用意してくれているスリッパやディスポの靴カバーを使うことができます。
この備えは事業所によって違います。入職したら、スリッパや靴カバーがあるかどうかを確認しておくと安心です。
玄関でのふるまいと、よくある場面
脱いだ靴の向きは、上がってからそろえます
作法としては、玄関で靴を脱いで上がってから、かがんで靴の向きをそろえます。そうできるお宅では、そうしています。
ただ、そうできないお宅のほうが多いです。荷物を持ったまま身体の向きを変えてかがむスペースが、玄関にないからです。
はじめから靴のつま先を外に向けて脱ぐのは、本来はマナー違反とされています。それでも、そうするしかない玄関はわりとあります。
ここは正解がひとつではないと思っています。作法よりも、その家に合わせるほうを優先しています。
段差の高い玄関もあります
上がりかまちの段差が高いお宅は、時々あります。古い家に多い印象です。
高齢の利用者さんのお宅では、すでにステップや手すりで対策されていることが多いです。必要がありそうなら、ご本人に、そしてご家族やケアマネジャーさんに相談します。
私自身が段差で困ったことはありません。伸びる靴ひもにしてあって、かがまずに脱ぎ履きできるからだと思います。
買い替えるのは、かかとが減ったときと、くたびれて見えたとき
買い替えの目安にしているのは、次の3つです。
- かかとの減り
- 履き口の生地のすり減り
- 靴本体の傷
訪問看護には、病院のような制服がありません。そのぶん足元がくたびれていると、全体がだらしなく見えてしまいます。靴も仕事着の一部だと考えるようにしています。
私の勤務先の服装の決まりは「派手でないこと」くらいです。細かく決まっていないからこそ、自分で線を引くようにしています。
まとめ|靴は「おしゃれ」より「転ばない」で選んでいい
私にとって訪問看護の靴に必要なのは、滑らない靴底と、かがまずに履けることです。見た目の好みは、この2つを満たしたなかから選べば足ります。
もし今日ひとつだけ試すなら、靴ひもを伸びるタイプに替えてみてください。今の靴のままでも、玄関での動きが変わります。
足元が安定すると、気持ちも少し落ち着きます。転ばないことは、いちばん確実な自分の守り方です。



