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内科や外科でうつや幻覚がありそうな人に出会ったら|『ねじ子が精神疾患に出会ったときに考えていることをまとめてみた』

ねじ子が精神疾患に出会ったときに考えていることをまとめてみた
イタドリ
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精神疾患の既往があるのでは? と思ったとき、あなたはどう動いていますか。

学生時代の実習で少しだけ触れたきり、精神科とはほぼ縁のない科で働いている——そういう看護師さんは、じつはとても多いと思います。 でも、内科でも外科でも、精神疾患を抱えた方は普通に入院してきますよね。 訪問看護ならなおさら、精神科の主治医がいないまま対応を求められることだって珍しくありません。

精神科の書籍を読むのはおっくうだけど、
必要性は感じている。
そういう時に役に立つのがこの本です。

おすすめポイント
  • ねじ子先生のイラストが秀逸。どんなリアルな写真よりも伝わる雰囲気。
  • 精神科の基礎知識がコンパクトにまとめられている
  • 他科で精神科の患者さんに会ったときの初期対応がわかりやすい
  • 重たくなりすぎず、リラックスして読める

言語化しにくい「あの雰囲気」がイラストで伝わってくる

精神疾患に出会ったときに考えていることをまとめてみた

言葉の選び方、視線の動き、話の流れにある、独特のずれた感じ。それを同僚に言葉でつたえようとすると、途端に難しくなる。
写真だと横線やモザイクがかかって、伝わりにくくなってしまうジャンルです。
文章だけで伝えようとしても、質感が伝わりにくい。
そういう難しい部分の機微をイラストであらわしてくれています。
全ての診療科の皆様におすすめしたいです。
もちろん、精神科にお勤めのかたにも、読み応えは充分あります。

この本の中身|8つの「世界」で精神疾患をやさしく整理

この本は、精神疾患を8つの「世界」に分けて解説しています。専門書のように網羅的すぎず、精神科以外で働く看護師が「まず知っておきたい」ところからまとまっているのが特徴です。

Part1 心の病って何?
Part2 統合失調症の世界
Part3 躁うつ病の世界
Part4 うつ病の世界
Part5 神経症の世界
Part6 パーソナリティ障害の世界
Part7 子どもの精神の世界
Part8 依存症の世界

統合失調症やうつ病はもちろん、現場で対応に悩みやすいパーソナリティ障害や依存症まで、ひと通りカバーされています。各パートの合間にあるコラム(「病名を告げない、またはあいまいな病名しか伝えないということ」「措置入院とその限界」など)も、看護師として考えさせられる内容です。

「うつ病の世界」より聞きにくいことほど、直球で

うつのパートで、私が特に大事だと思ったのは希死念慮の聞き方です。

一番大事なのは、希死念慮があるかどうかを聞き出すこと。聞きにくいことほど、ズバリ直球で、事務的に聞いたほうがいい――本書ではそう言い切っています(84ページ)。

これは私も、現場でとても大事だと感じています。

普段のやりとりのなかで、患者さんのほうから「消えてしまいたい」という気持ちが語られることは、なかなかありません。おそらくですが、「こんなことを言ったら大げさになる」「こんなことでこんな風に感じているなんて、笑われるんじゃないか」と考えている方が多いのだと思います。

安定しているように見える方でも、直球で尋ねると「時々思う」という返事が返ってくることがあります。内心「気がつかなかった!」と思ったことも、一度ではありません。

そして本書には、「聞き出したあと、どうするか」もきちんと書かれています。聞くだけ聞いて終わり、にならないところが、現場で使える理由です。

繰り返し読んでいる「パーソナリティ障害

訪問看護の現場で、あるいは病棟勤務のころに、「対応がとにかく難しいな……」と感じた利用者さん・患者さんが、頭に浮かんできたからです。

賛辞を惜しまないかと思えば、急にこちらの一番つらいところをピンポイントで突いてくる。 「先生(や看護師)はきっとわかってくれる」と期待されたと思ったら、翌日には「裏切った」と言われる。 スタッフ間で対応がちょっとでも違うと、そこにつけ込まれるように関係がこじれていく。

心身ともに消耗して、出勤前にため息をついたことも一度ではありませんでした。

この本では「穴のあいた愛情バケツ」というイラストで、その仕組みをわかりやすく説明しています。

ねじ子 愛情バケツ

ボーダーライン・よくある例 穴のあいた愛情バケツ
                 引用 168ページ 

ああ、あの人はこれだったのか——。
そんな納得感が得られるはずです。

落ち着いた一貫した態度で接するとか、限界設定をする、など
対応の仕方を書いた本は他の書籍にもあります。
一般向けの書籍もたくさんありますよね。

理屈はわかっても、気持ちが納得できない。
そんな難易度の高いことを要求されても実行するのは難しい、と思ってしまう。気持ちがついてこない。そういう経験はありませんか。

この本がほかと違うのは、「難しいと感じるのは当然なんだよ」という前提が、行間ににじんでいるところだと思っています。 話すと愚痴や悪口になってしまいそうなことを、一般化して、丁寧に言語化してくれています。
こういったことで困難を感じているのは自分だけではない。
本を読むことで、あの頃の自分を少しねぎらえた気がしました。

わかりやすい「子どもの精神の世界

私が学生の頃には習わなかった自閉症やアスペルガー、ADHD。

職場での研修などで勉強はしましたが、
患者さんによって症状が多彩なので難しく感じます。

専門家を志す人にはさらに専門書が必要ですが、
そうでない人にとっての必要な項目はしっかりまとめられています。

今働いている診療科の勉強で手一杯、でも精神科のことも知っておきたい。
そんなあなたにちょうどいいボリューム感で、必要な情報が詰まっています。

最近は、発達障害の二次障害としてうつ病や不安障害の治療を受けている若い方が増えています。というより、うつ病や不安障害の治療経過のなかで「実は発達障害があった」とわかるケースがある、と言ったほうが近いかもしれません。

発達障害は症状の個人差がとても大きいのですが、大枠を理解しておくことは必要です。ただ、教科書的な本を読むと「これ、私にもあるよ?」という印象を受けがちで、どうも腹に落ちにくい。

ねじ子先生の解説は、イラストとあいまって「そういうことか」とすっと入ってきます。

訪問看護師だからこそ、手元に置いておきたい

病院では、精神科の主治医がいてコンサルできる環境が整っていることも多いですよね。 でも訪問看護の現場では、利用者さんの自宅という「精神科以外の場所」で、一人でアセスメントを求められることがよくあります。

「なんだか最近、話がかみ合わない気がする」 「落ち込みが強くなっていないか」 「もしかして、薬を飲めていないのかな」

そういう場面で、この本は指針になってくれます。 専門書ではないからこそ、さらっと読んで、必要な時にパッと開ける。

重くなりすぎず、でもちゃんと使える本。

精神疾患に出会ったときに考えていることをまとめてみた

精神科が専門の方にも、読む価値あり

「精神科で働いているから今さら……」と思わないでください。

ねじ子先生の本は、どれも「知識の整理」というより「視点の整理」ができる一冊です。 日々の業務の中で当たり前になっていたことが、改めて言語化されているのを読むと、「そういうことだったのか」と新鮮な気持ちになります。

後輩ナースへの指導をしている方にも、おすすめします。 「なぜそう対応するのか」を説明するとき、この本のイラストや言葉を添えて見せると、伝わりやすさが全然違います。

まとめ

精神科の患者さんとの関わりに、自信を持てないと感じている看護師さんへ。

この本は、「もっとちゃんと勉強しなきゃ」という焦りではなく、「なんとなくわかった気がする」という安心感を届けてくれます。 そしてその安心感が、実際のケアにじわじわと活きてくる——そういう本だと思っています。

ねじ子先生のイラストは、難しいことを難しいまま伝えないように描かれています。 そして大事なことはちゃんと伝わる。

ぜひ一度、手に取ってみてください。

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イタドリ
イタドリ
現役訪問看護師|HSP当事者
看護師になって30年以上経ちました。
僻地の有床診療所、地域の中規模病院、大学病院を経て、訪問看護は20年以上になりました。
某大学では学外講師を務めています。
やや敏感な気質を持ちながら、
それでも現場で積み上げてきた経験を活かして、訪問看護の実践知や役立つ情報を発信していきます。
窓の外を眺めるように、在宅ケアとHSPという生き方をひそかに綴るブログです。
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