『人が病気で死ぬワケを考えてみた』感想|患者さんへの説明にも使える一冊
今回は、森皆ねじ子さんの『人が病気で死ぬワケを考えてみた』(主婦と生活社)を紹介します。ねじ子さんの本のレビューは、これで4冊目になります。
この本は看護の専門書ではなく、一般の人に向けて「人はどうして病気で死ぬのか」を絵と文章でやさしく解説した本です。ただ、現役の看護師である私が読んでも、得るものがたくさんありました。
買ったきっかけが少し変わっているので、その話も含めて感想をまとめます。
『人が病気で死ぬワケを考えてみた』はどんな本?
著者の森皆ねじ子さんは、医師でありながら漫画家としても活動している方です。『ねじ子のヒミツ手技』シリーズなど、医療者向けの本でよく知られています。
この本がそれらと違うのは、読者が医療者に限られていないところです。高血圧・糖尿病・がん・感染症といった身近な病気について、「なぜそれで人が死ぬのか」という素朴な疑問に、ゆるいイラストとたとえ話で答えてくれます。
難しい用語はほとんど出てきません。それでいて、病気のしくみの本質はきちんと押さえられています。医学的に正確なまま、ここまでやさしくできるのかと驚きました。
買ったきっかけは、子どもの教育でした
この本を買ったのは、自分の勉強のためではなく、子どものためでした。
私が子どもの頃は、地域のお年寄りや大人が病気や事故で亡くなって、葬儀に行く機会がよくありました。人が亡くなるということが、今よりずっと近くにあったと思います。
今は地域の付き合いも親戚づきあいも薄くなり、近所の方が亡くなっても、葬儀が済んでから回覧板で知るくらいです。子どもが「人は病気で死ぬことがある」と実感する機会は、ぐっと減りました。
だからこの本は、私が読ませるのではなく、本棚に置いておいて、子どもが自分のタイミングで手に取ってくれればいいなと考えて購入しました。イラストが多くて文章もやさしいので、興味を持ったときに子どもでも読み進められます。
現場でも役立った:患者さんへの説明にそのまま使える
買ってみると、看護師としての私にも思わぬ収穫がありました。患者さんに病気を説明するときの「たとえ話」の引き出しが、一気に増えたのです。
たとえば高血圧の説明。この本では、硬くなった血管を古い鉄パイプにたとえて、心臓の圧力がそのまま体の末端まで届いてしまい、細い血管が耐えられなくなって破れる——それが脳出血、という流れで説明されています。
「血圧が高いと脳出血のリスクがあります」と言葉で伝えるより、このイメージで話したほうが、患者さんの表情が変わります。実際に訪問先での説明に使わせてもらっていて、伝わり方が全然違うと感じています。
高血圧のほかにも、脂質異常症(高脂血症)や痛風など、生活習慣病の説明がそろっています。訪問看護は生活指導の場面が多いので、そのまま使えるたとえ話が多いのは本当にありがたいです。
こんな人におすすめ
この本は、次のような人に向いていると思います。
- 患者さんへの説明が苦手な看護師(訪問看護・外来・保健指導など)
- 病気のしくみをイメージでつかみたい看護学生・新人看護師
- 子どもと「命」や「病気」の話をするきっかけがほしい親
逆に、検査値や治療法まで踏み込んだ専門的な内容を求める人には、少し物足りないかもしれません。その場合は、次に紹介する『ねじ子のぐっとくる体のみかた』のほうが向いています。
ねじ子さんの本、4冊の使い分け
私の本棚にはねじ子さんの本が4冊あります。それぞれ役割が違うので、簡単に整理しておきます。
- 『人が病気で死ぬワケを考えてみた』…病気の「なぜ」を一般向けに。患者説明のたとえ話の宝庫
- 『ねじ子のぐっとくる体のみかた』…フィジカルアセスメントの復習に
- 『ねじ子のヒミツ手技』…採血や点滴など、手技の確認に

もう1冊、精神科の『ねじ子が精神疾患に出会ったときに考えていることをまとめてみた』も持っています。精神科が専門ではない看護師さんに特におすすめの一冊で、レビューはこちらにまとめています。


急変対応やアセスメントに強くなる本は、こちらのまとめ記事で5冊まとめて紹介しています。

まとめ:家庭にもナースステーションにも置ける一冊
『人が病気で死ぬワケを考えてみた』は、患者さんへの説明にも、子どもの「命の教育」にも使える一冊です。子どもには「命について考えるきっかけ」として、看護師には「患者さんに伝わる言葉の引き出し」として働いてくれます。1冊で二役です。
気になった方は、書店やネット通販で手に取ってみてください。
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