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訪問看護のオンコールがこわい?実際の頻度・手当と、少ない職場の選び方

夜の寝室の枕元、明かりがともる様子
イタドリ
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「訪問看護に興味はある。でも、オンコールがこわくて踏み出せない」。夜中に電話が鳴ったら、ひとりで判断できるだろうか。当番の夜は、眠れないのではないか。求人票の「オンコールあり」の一言で手が止まってしまう看護師さんは、少なくないと思います。

私は現役の訪問看護師で、いまは精神科の訪問看護をしています。これまでに3か所のステーションで働き、オンコールの当番も経験してきました。経験のないオンコールを不安に思うのは、当然のことだと感じています。私自身、当番の夜は寝ていても緊張がとれない人でした。

この記事では、オンコールの実際の頻度・呼ばれ方・手当の相場・向き不向き・少ない職場の選び方をまとめます。私の体験に加えて、全国訪問看護事業協会が行った調査の数字も使って書いていきます。

目次
  1. 訪問看護のオンコールは、夜勤ではなく「自宅で電話を待つ当番」です
  2. 実際の頻度|私が働いた3か所では、出動は月1〜2回か、年に1回でした
  3. 手当の相場|待機は一晩1,000〜3,000円、出動すれば別に支払われます
  4. オンコールに向いている人と、しんどくなりやすい人
  5. オンコールが少ない・ない職場の選び方|面接で聞きたい5つの質問
  6. まとめ|こわさの正体は、わからないことだったのかもしれません

訪問看護のオンコールは、夜勤ではなく「自宅で電話を待つ当番」です

自宅のソファでスマートフォンを手にする女性

オンコールとは、営業時間外や休日に利用者さんやご家族からの電話に対応する当番のことです。当番の看護師は事業所の携帯電話を持ち帰り、自宅で過ごしながら電話を待ちます。電話が鳴ったら話を聞いて状況を判断し、必要なときだけ訪問に出ます。

夜勤との一番の違いは、待つ場所が自宅だという点です。電話が鳴らなければ、ふだんどおり夕食をとり、お風呂に入って自分の布団で眠れます。ひと晩に一度も電話が鳴らない日もある、というのが私の実感です。

電話が鳴ってから、訪問に出るまでの流れ

電話の内容は「熱が出た」「薬を飲み忘れた」「眠れない」など、さまざまです。まず電話で状況を聞き、その場で対応を説明して終わることも少なくありません。訪問が必要と判断したときは、着替えて利用者さんのお宅へ向かいます。

判断に迷ったとき、ひとりで抱える必要はありません。全国訪問看護事業協会の調査では、判断に困ったときの相談機能が「ある」事業所は99.1%でした。相談先として最も多いのは管理者です。

9割の事業所が自宅待機で、当番はひとり体制が7割です

同じ調査では、夜間・休日の体制を「自宅待機(オンコール)」としている事業所が90.1%でした。一日あたりの当番看護師は「1人」が71.9%と最も多くなっています。月に当番を担当する看護師の人数は「1〜3人」が47.3%、「4〜6人」が40.6%でした。

当番を回す人数が少ない事業所ほど、ひとりに当番が来る回数は増えやすくなります。「月に何回当番があるか」は、事業所の規模でかなり変わるところです。

実際の頻度|私が働いた3か所では、出動は月1〜2回か、年に1回でした

明かりのついた夜の寝室

「オンコールあり」と聞くと、毎晩のように呼び出される姿を想像するかもしれません。実際には、当番の回数・電話が鳴る回数・訪問に出る回数は別のものです。この3つを分けて考えると、こわさの正体が少し見えてきます。

私が働いた3か所のステーションでは、当番の日に実際に訪問へ出たのは、AとBのステーションで月に1〜2回でした。Cのステーションでは、年に1回あるかないかという頻度でした。電話が一度も鳴らないまま朝を迎える夜もあります。

ステーションによっては、もっと多いところもあるようです。事業所ごとの差が大きいので、面談で具体的に聞くのがいちばん確実です。

電話だけで終わるように、日中の訪問で先回りしておきます

私がオンコールを持っていたころ、心がけていたことがあります。「夜に電話がかかってきても、話を聞いて対応を説明するだけで済むようにしておく」ことです。

自分が担当している利用者さんには、そのときの状態から起こりうることを昼の訪問で説明しておきます。たとえば「息切れが強くなる」「呼吸がつらくて横になれない」といった悪化のサインと、そうなったときにどうするかです。先に伝えておくと、夜の電話は「昼に聞いた、あの話」の確認で済みやすくなります。

担当ではない利用者さんの電話にも、当番は出ることになります。そこで当番の前には、容態が変わりそうな方をチェックして、対応について記録を見ておきます。わからないところは、担当の看護師に聞いておくと安心です。夜のこわさは、夜だけで減らすものではないと感じています。

昼に決めておいたことが多いほど、夜の電話は「確認の電話」に近づいていくものです。それでも出動が必要な夜はあります。ただ、その回数は多くありませんでした。

【実体験】「軟膏がほしい」という電話が、救急受診の案内で終わった話

当番のとき、こんな電話を受けたことがあります。「おしりをやけどした、軟膏がほしい」。訪問看護ステーションから軟膏を届けることはできませんし、薬を処方してもらうためには医師の診察が必要です。利用者さんが訪問看護でできることを充分にご存知でなかったための訴えだったのだと思います。

話を聞く前は、程度が軽ければ冷やして翌朝の受診を案内するつもりでした。ところが状況を確認していくと、2度以上のやけど、つまり水ぶくれができる深さだとわかりました。翌朝まで待てる状態ではなく、すぐに夜間救急へ行くよう説明しました。

このとき実感したのは、最初の訴えの言葉と実際に必要な対応が違うことがある、という点です。言葉のまま受け取らず、状況を一つずつ聞いていくことが、電話対応のいちばんの仕事だと思っています。

手当の相場|待機は一晩1,000〜3,000円、出動すれば別に支払われます

電卓とノートとペン

オンコールの手当は「待機しているだけの手当」と「実際に訪問したときの手当」の2階建てになっているのが一般的です。求人票に「オンコール手当あり」とだけ書かれていたら、どちらの話なのかを確認してください。

全国訪問看護事業協会は、利用者130人以上の事業所316か所に手当の調査を行いました。平日の待機手当は「1,000〜2,000円未満」が34.2%、「2,000〜3,000円未満」が31.0%です。報告書でも「平日一晩1,000〜3,000円が多く、おおむね2,000円程度」とまとめられています。

実際に緊急訪問した場合は、96.2%の事業所が別に報酬を払っていました。支払い方は「時給」が61.3%、「定額手当」が27.6%です。定額の場合は「5,000円以上」が最も多く、28.7%でした。

2016年公表の調査なので、いまは金額が上がっている事業所もあると思います。それでも「待機と出動で手当が分かれている」という形は同じです。金額を聞くときは、待機と出動を分けて聞くと正確に比べられます。

代休は「保障なし」が6割。翌日の勤務は面接で必ず聞いてください

同じ調査では、夜間・休日に緊急訪問したあとの代休を保障「なし」とした事業所が57.0%でした。「あり」は31.3%です。夜中に出動して翌朝そのまま通常勤務になるかどうかは、身体への負担を大きく左右します。

出動した翌日の出勤時刻を遅らせてもらえるか、深夜になった場合に半休がとれるか。手当の金額と同じくらい、ここを確認しておくと入ってからの後悔が減ります。

オンコールに向いている人と、しんどくなりやすい人

スクラブを着た看護師

向いている人|自宅で待てることを、楽だと感じる人

オンコールには「お酒を飲めない」「遠くへ出かけられない」という制約があります。それでも自宅で家族と過ごし、自分の布団で眠れるのは夜勤にはない利点です。夜勤明けの昼夜逆転がつらかった方には、オンコールのほうが身体に合う場合があります。

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昼間の訪問で「困ったときはこうしましょう」と先回りして決めておくのが得意な方も、オンコールと相性がよいと感じています。夜の電話が減るのは、日中の積み重ねの結果だからです。

しんどくなりやすい人|「鳴るかもしれない」で眠れなくなる人

一方で、当番の夜は電話が鳴らなくても気が休まらない、という方もいます。HSP気質の方は、着信音そのものより「いつ鳴るかわからない」状態に消耗しやすいかもしれません。私も当番の夜はずっと緊張していて、眠りが浅く、夜が終わると疲れていました。

出動が多く、翌日も通常どおり勤務する体制だと、体力的にもきつくなります。「月に何回までなら大丈夫か」を自分の身体と相談して先に決めておくと、職場を選ぶときの物差しになります。

「向いていない」と感じても、訪問看護をあきらめなくていいんです

オンコールがしんどいと感じることと、訪問看護に向いていないことは別です。オンコールなしで働ける職場も、当番の負担を減らす仕組みを整えている事業所もあります。

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オンコールが少ない・ない職場の選び方|面接で聞きたい5つの質問

コーヒーとノートが置かれた机

オンコールの回数や負担は、職場によって大きく違います。ここからは、少ない・ない職場を見つけるための考え方をまとめます。

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パート・非常勤なら、オンコールなしの職場はわりとあります

私はいま、生活とのバランスをとるためにパート勤務で、オンコールは持っていません。パートや非常勤であれば、オンコールなしの条件で働ける職場はわりとあります。

常勤で探す場合も、「オンコールなし」や「月◯回まで」を最初の条件として伝えて大丈夫です。遠慮して条件を下げると、あとで自分がつらくなります。まず単発や非常勤で訪問看護そのものを試してみる、という入り方もあります。

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2024年から、看護師以外の職員が最初の電話を受けられるようになりました

2024年度の報酬改定で、24時間対応の仕組みが見直されました。対応マニュアルの整備や、看護師がすぐに判断できる連絡体制などが条件です。それを満たせば、事務職員など看護師以外の職員が利用者さんからの電話を最初に受けられます。

「夜間対応した翌日の勤務間隔を空ける」「連続の当番は2回まで」などの負担軽減の取り組みも、評価の対象になりました。取り組んでいる事業所は、加算の区分が一段高くなります。面接で「オンコールの負担を減らす取り組みはありますか」と聞くと、事業所の姿勢が見えてきます。

面接で聞きたい5つの質問

  • ① 月の当番回数は何回か(平日と休日を分けて)
  • ② 当番の日に電話が鳴る回数と、実際に訪問へ出る回数の目安
  • ③ 待機手当と出動手当の金額、深夜の移動手段(タクシー代は経費になるか)
  • ④ 出動した翌日の勤務はどうなるか(代休・半休・出勤時刻の調整)
  • ⑤ 判断に迷ったとき、夜中に誰へ相談できるか

はっきり答えが返ってくる事業所は、オンコールの実態を把握しています。答えがあいまいなときは、当番の負担がまだ整理されていないのかもしれません。

求人票に書いていないことは、転職サービスの担当者に聞けます

当番の回数や実際の出動頻度は、求人票にはほとんど書かれていません。私が病院から訪問看護へ移ったときも、この「現場の実態」が自分では調べきれず、看護師専門の転職サービスを使いました。担当者に「オンコールは月4回以内」「翌日の勤務調整がある事業所」と具体的に伝えると、紹介される求人が絞られます。

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電話が苦手なHSPの私が、連絡の負担が少ない順に5社を比べた記事があります。オンコールの条件を伝えやすいサービスを選ぶ参考にしてください。

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まとめ|こわさの正体は、わからないことだったのかもしれません

朝の光の中でコーヒーを注ぐ手元

オンコールは、夜勤とは違う「自宅で電話を待つ当番」です。私が働いた3か所では、実際に出動したのは月1〜2回か年1回ほどでした。待機手当は一晩1,000〜3,000円が中心で、出動すれば別に支払われます。

こわさの多くは、どれくらい呼ばれるのかがわからないところから来ています。回数・手当・翌日の勤務を面接で聞いて自分の許容範囲と照らし合わせれば、オンコールは未知のものではなくなります。

明日からの一歩は、ひとつだけで充分です。「月に何回までなら、私は大丈夫か」を自分の身体に聞いて、数字にしてみてください。その数字が、職場を選ぶときのあなたの物差しになります。

出典:一般社団法人 全国訪問看護事業協会「平成27年度 訪問看護ステーションにおける24時間対応体制に関する調査研究事業 報告書」(2016年3月)/厚生労働省「令和6年度 診療報酬改定・介護報酬改定」資料

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ABOUT ME
イタドリ
イタドリ
現役訪問看護師|HSP当事者
看護師になって30年以上経ちました。
僻地の有床診療所、地域の中規模病院、大学病院を経て、訪問看護は20年以上になりました。
某大学では学外講師を務めています。
やや敏感な気質を持ちながら、
それでも現場で積み上げてきた経験を活かして、訪問看護の実践知や役立つ情報を発信していきます。
窓の外を眺めるように、在宅ケアとHSPという生き方をひそかに綴るブログです。
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